建物概要
建物名称 | ミウラ化学装置 本社棟 |
発注者 | ミウラ化学装置 株式会社 |
所在地 | 大阪府 |
用途 | 事務所 |
構造/階数 | S造・地上2階 |
延床面積 | 555㎡ |
設計主旨
約70年前、戦後の日本が高度成長を迎えようとしていた時代、公害対策がこれからの社会の責務であるという理念のもとに創業された、水処理や排ガス処理装置、脱臭、騒音防止等、「浄化する技術」に特化した企業の事務所である。本社建設から50年近く経過し、次世代も見据えた職場環境の向上のため、本社棟を建て替えることになった。建物は鉄骨造2階建てで、建物位置や規模も含めて旧本社を踏襲した内容であったが、その中でもより快適に過ごしてもらえるよう、広がりが感じられる空間づくりを心がけた。旧本社は鉄筋コンクリート造の複雑な意匠の建物で、経年劣化によるクラックを原因とする漏水などがあったため、施主からは新本社は極力、シンプルで明るい建物にしたいという要望があり、外壁は耐候性と防水性能に優れた押出成形セメント板の工場塗装品、屋根を断熱アスファルト防水保護工法としている。白い外壁は企業の「浄化する技術」のイメージにふさわしいと考え、反射性がある顔料を用いたパール塗装仕上げを採用した。内装についても同様に明るい印象を与えるよう、各室とも床材や壁にアクセントとなるような色調のものを採用し、珪藻土ろ過技術のパイオニアである企業に合わせて、水の流れをイメージしたエントランス正面の青い壁は珪藻土を左官で仕上げている。今回の工事では、かなり細部まで施主と意見交換しながら工事を進めることができ、完成した建物を見て、あらためて「納得いく対話が、納得いく建物を生む」という思いを強くした。